科学者にとって大切なことが2つあります。一つは物事を詳細に観察し見たままを認識することです。そして二つ目は嫌なことでも進んで行動することです。ノーベル賞受賞者の下村教授が数え切れないくらげを自ら採取して研究したことは有名ですが、このようにつらいことでも真実の追究のために正面から立ち向かうことが必要だと思います。
なぜ、このような話かというと、昨日何気なくコラムを読んでいた時に面白い話を見つけたからです。それは未来の科学者である医学部の学生に教授が行ったある実験でした。
教授は最初に述べたように、科学者になるには二つの要素が必要だといいます。そして汚い水が入った容器を準備し、指をその中に入れました。そしてその教授は指を口に入れます。
「さあ、皆さんも同じようにやってみてください」
学生達は、最初に「嫌なことでも行動すること」が科学者だという説明の通り、その汚い水に指を入れそれを口に入れました。全部の学生が同じようにした後、教授はこのように言います。
「皆さんは、科学者の要素のうち一つは完璧な素養をお持ちのようです。汚い水を厭わずに指を入れたのですから。」
もう一つは「物事を詳細に観察して見たままを認識すること」です。学生達はなぜそれができていなかったのか不思議がりました。そして続けて教授はこういいます。
「ただ、残念ながら、観察が綿密ではありません。綿密に観察していたならば、私が水につけたのは中指だったのに、口に入れたのは薬指だったことに気付かれたはずです。」
人間は、多分こうなるだろうと意識してしまうと、物事の本質を見失ってしまいます。先の教授の実験はまさにそれを如実に表すものでしょう。科学者でなくても、我々は多分こうなるだろうという思い込みが事実の認識に強い影響を与えてしまっているということを常に意識しなければならないのではないでしょうか。
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