変なタイトルだが、今回もPRの話。
蘇民祭の話だ。JRのセクハラ烙印に端を発した蘇民祭騒動は、全国に祭りを知らせる絶大なPR効果をもたらし成功裏に終わった。まさに負のイメージを一発逆転JRの乗客増までもたらした近年まれに見る成功例だ。
これも実は最近はまっているトランジスタ効果の一種だ。地方の小さな祭りのポスター掲示をJRが拒否したことなど、本来ならニュースにもならないはずだ。ただ、それが正しい判断なのかという議論を持ちかけた一市民のインターネットへの投稿が今回の発火点だ。
胸毛と髭を蓄えた大男の恍惚とした表情を捉えた一枚の写真は確かに衝撃的だが祭りの本質を捉えた優れた表現だともいえる。このポスターの出来栄えに対する賛否両論がこの動きをさらに加速させた。
アメリカの例ではハーフウェイという小さな町の名前をハーフドットコムという企業の名前に変更するという話題が全米を巻き込み、町議会での採決時には大勢のマスコミが集まるといった騒動があった。賛否両論がある話題というのは話の遡上に上り易いため、PR戦略として使われる場合がある。
今回のポスターはまさにその賛否両論を巻き起こして社会のムーブメントを引き起こしたといえる。
しかも、この件に関しての当事者の振る舞いが非常に良かった。生まれ持った身体的特徴をセクハラといわれた彼の気持ちは複雑であったと思うが、非常に冷静に、そして祭りへの愛情を持ってマスコミへの対応を誠実に行っているようなのだ。
そのことが、セクハラか否かという論点よりも、蘇民祭という祭りとはどういうものなのかという興味へ皆を惹きつけていった。
そして当日、数多くのテレビ局からの取材も受けるなど、祭りそのものが全国区の有名な祭りとなった。ポスターの主人公は、今回は混乱を避ける為に参加せず、マスコミへの対応へ専念したというのも良かった。
これが、JRの観客増を狙ったPR戦略だとしたら恐ろしいが、そんなことはあるまい。
だが、一連のプロセスはとても参考になるのではないだろうか。
コメント