微弱な電波を増幅して音声に変えるトランジスタの機能から、現代の社会はそのような電気の流れにも似た情報流動性の大きな社会になっているという事を前回書いたが、最近の事例で気になる一件があった。
ベガルタ仙台の選手が酔って暴れて見知らぬ人の車の上にのってぼこぼこにしたという事件だ。
当初、車の持ち主と示談が成立して、厳重注意で公表はしないという方針だったようだが、その現場を見ていた人がネット上にその話題を書いた。そのことでマスコミにその情報が入り、球団側に取材の依頼が来た。取材が来たからには誠実に応えなければさらに拡大するということで、事実を公表した。さらにその事実をマスコミが記事にしてさらに多くの人が見聞きする事になる。さらにその記事を元にブログなどで話題になりより多くの人が知る事実となる。
10年前であれば、まったく表ざたにならずに消えていった数々の不祥事が、増幅されてどんどんと伝わっていく。
PRの世界では、「もはや隠すということは不可能だ」ということを前提に戦略を立てなければ間違いを犯してしまうとは言われて久しいが、その世界を社会的に責任のある組織や人々はどのように行きぬかなければならないのだろうか。深夜ラジオの一言で数億円の損害を出すご時世である。
まだ、経営者は50代~60代の世代が多いと思うが、その世代の人たちは、考え方を180度変えなければならない。簡単なことだが、不祥事が出るのを防ぐのではなく、不祥事が起こった際の対処の方に考えを巡らすということだ。
ここまで一挙手一投足が大きく広まる世界だと、表で活躍する人たちには大きなプレッシャーがかかってしまう。医療現場で考えれば分かり易いが、訴訟リスクを多く抱えた分野になりたがらない構図と同じだ。
まずは誠実な言動を心がけるという事が前提だが、不祥事後の対応の方が今の時代もっと大切といえる。
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