民主党が国民年金流用禁止法案を出すという話題を耳にして、ある疑問が浮かんだ。年金の納付率は50%程度と言われている。しかも少子化で年々納付人口は減っていく。確実な納付というのも大切だが、今ある年金資産をいかに増やすかという点も重要なことではないだろうか。ということで、先月の新聞記事から流用された総額と運用益とを拾ってきた。
7月24日毎日新聞 保険料約6兆9千億円を年金給付以外に流用
◆年金保険料のうち給付以外に流用された総額◆
<旧年金資金運用基金関係>
グリーンピア建設費 3140億円
被保険者の住宅融資 1兆5400億円
事務費交付金 5100億円
福祉医療機構への支出 120億円
<社会保険庁関係>
年金福祉施設の整備費1兆4000億円
年金相談などの経費 1兆9000億円
年金事務費 1兆円
委託事業 2000億円
総計 約6兆9000億円
7月31日毎日新聞 3兆7千億円黒字…06年度 厚労省法人が公表
厚生労働省所管の「年金積立金管理運用独立行政法人」は31日、公的年金資金の06年度の運用結果を公表した。外国株式の運用収益などに支えられ、3兆9355億円の運用益を確保。政府の財政融資資金に対する借入利息1747億円を除いた06年度の収益は、3兆7608億円だった。単年度黒字は4年連続で、累積黒字は10兆2697億円と初めて10兆円台に達した。
運用での利益が10兆2697億円、流用した金額の総額が6兆9000億円。
流用した額を差し引いても3兆3697億円の利益を出している。ライブドア株で数百億円の損失もあったようだが、概ね好調な運用益をあげているのは事実のようだ。
もともとグリーンピアなども、そこからの収益を運用益として見込んでいたが、サービス業のノウハウに欠けていたために運用に失敗したということだろう。しかしながら、この新しい「年金積立金管理運用独立行政法人」はその仕事をしっかりとまっとうし、過去使った経費や運用失敗による損失を見事に穴埋めしているではないか。
今日のニュースでは1億円を超える金額を社会保険庁が着服していたと報じられていた。このことは論外としても、もう少し冷静に社会保険庁の仕事振りを見てみる必要があると思う。
ただ、この運用もどこまで成功するか確実なものではない。林野庁の原野商法まがいのオーナー制度も話題になった昨今。国政にも金融経済のプロフェッショナルがより必要な時代かもしれない。
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