今までプロの仕事だった領域に素人が大量に押し寄せてきた時、どうすべきだろうか。
当然、殺し屋という職業自体を容認するわけではないが、「ネットの影響で素人が押し寄せてきた」という仮定で話を進めていきたいと思う。
ネットという匿名性の高い告知手段が出来たため、当初は非常に受注が増えて良かった。
しかし、年々新規参入組が出てきて、格安料金を提示しはじめた。
何も知らない顧客は、単純に価格比較で選んでしまう。
そのため素人に受注が流れ、高品質の仕事をしているプロへの依頼が減ってしまった。
というのがだいたいのあらましだ。
プロの仕事というのは、簡単にまねできるものではない。したがって、素人が手を出してしまうとそれだけ高いリスクを顧客に負わせてしまう。この部分を解消するために、ネットの中の分業を考えてみたい。
素人は価格も安いが、リスクも負いたくない。そんな人がほとんどだ。したがって、そのリスクを負いたくない素人たちを逆に利用してしまうというのが今回の戦略の肝になる。
先の記事の中で、このように自己分析している。
いろいろ理由があると思うんですが、1つは、同業者もネットを使うようになってきたので競争が激しい事。もう1つは、同業が増えて活動が目立つようになり、取締りが激しくなったこと。最後の1つは、素人が手をだしはじめた事…です。今までのようなネットを使った活動はローリターン・ハイリスクで、使えないんですよ。だから依頼数が一気に減っちゃったわけ
このクライアントは、同業者に対し、品質の面で自分がいかに優秀かを語っている。だからこそ今まで生き残ってこれたのだと。
そうであれば、同業者こそその品質に対し正当な評価をしてもらえるのではないだろうか。
そこで、クライアントにはこの際「卸売業」に徹してもらうというのが私の提案だ。
直接顧客への営業をしないことで次のようなメリットも享受できる。
1)実行犯と顧客との間が開き、捕まるリスクが軽減される。
2)素人業者はネットで顧客を獲得することに専念できる。
3)顧客がその神秘性を信奉する。
クライアントはまた、仲介業者は儲かったと過去の事例も挙げている。
素人業者には仲介業としてのアフィリエイトプログラムを提供する。
自分はあくまでプロの仕事に徹する。
これで、共倒れすることなく、リスクも少ない理想のネットワークが構築できる。
今回は「殺し屋ビジネス」という極端な例であったが、オリジナルを持っている。他に負けない技術を持っている。そんな企業にはネットで他の素人業者と肩を並べるよりも、サプライヤーとしての地位を確立した方が良い場合がある。
ネットで顧客と直接つながる♪
なんだか良いことばかりのようだが、大きな落とし穴が待っている。
[いいですね] あとで時間を作ってきちんと読もうと思いますけど、昨夜も飲み屋でそんなこと愚痴っていたテレビ制作のおじさんがいた(笑)。
投稿情報: withoutsugar | 2007/03/18 21:28
ごめん。
間違える人いないと思うけど、テレビ制作って、テレビジョンをつくるんじゃなくてティービープログラムをつくるひとね。
あとはテレビ番組制作の受発注にネットがどう影響しているのか、門外漢には推測できないのですけど、
ここの部分が同じ構造なわけです。
建築設計のおじさんもぼやいてたなぁ(苦笑)。
投稿情報: withoutsugar | 2007/03/18 21:42
素人の参入がすべて悪ではなく、様々な角度から見ていかないといけない問題ですね。 ちなみに陶磁器産業も同じような構造です。
投稿情報: Eric | 2007/03/18 22:03
印刷屋のオジサンもWeb屋のお兄さんもミュージシャンのおねーさんも編集者のオバサンもみんなぼやいていますよ。
もちろん敷居が低くなったことによって新たなアイディアが入り込みやすくなり談合利権構造みたいなのが崩れるのはいいことなんですが、プロなら同じプロとしてそれはありえない価格、ってのがわからない時点で自分で自分のクビ絞めるんだろうなぁ、と思います。
投稿情報: 有人SPAM初號機 コーノ | 2007/03/19 00:32
この人はプロだ!と誰かが認定してくれる制度みたいなものがあればいいですね。
話変わりますけど、今ちょうどプロの宅地建物取扱主任者が顧客の賃貸物件の要望に応えるQ&A賃貸情報サイトを立ち上げ中です。プロの視点というのがますます重要になってくるようなので時代に乗ったかもしれないです。。。(手前味噌)
投稿情報: Eric | 2007/03/19 22:12
労働の対価で金銭を得ている人は皆プロだと(プロであるべきだと)思います。
なので宅建の人がものすごい値切り方してきたら「それは同じプロとしてどうよ」となるでしょう(笑)。
投稿情報: 有人SPAM初號機 コーノ | 2007/03/20 00:04
私も日々悩んでいますが、対価はあくまで相手にとっての価値であって、自分のこだわりではないというところが難しいですね。完璧で堅牢なシステムよりもオープンまでのスピードに価値を見出しているクライアントにはいくらシステムを完璧にするために時間がかかりますといっても通じないですし、そこで我々がやるべきことは、スピードならまずはそれをクリアし、プラスアルファの分をいかに提供できるかにかかっていると思います。
あくまで相手機軸で物を考えられるか否かがプロかそうでないかの差のような気がします。労働の対価を得る人は皆プロですが、その中でも支持されるプロになりたいと常々思っています。
投稿情報: Eric | 2007/03/20 22:29
>この人はプロだと誰かが認定してくれる制度
「日本は自称プロだらけの世界なんだよな。」
以前の会社の社長が言ってましたが、ドイツのマイスター制度を改めて
チェックしてみると、社長の言いたかったことがわかってきました。
http://www.shou.co.jp/waza/myster.htm
・マイスター制度は各職人の技能と理論を実践と教育で培う制度
・実務を5年間程学んだらマイスターを受ける為の専門学校に入学します。ここでは会社を退職し1年間通います。
・一流企業の人間とマイスターの称号を与えられた人物は全く同等がそれ以上の存在
僕は新規事業部の人間で社長とは畑違いでした。新規事業部には他社のブレーンも多数入っていましたので、意思決定には苦労されていたんだと思います。論理があっていても結果が出なかったどころか、実現可否も疑わしいことがよくありましたからね。
投稿情報: bo | 2007/03/21 19:13
[いいですね]
>3)顧客がその神秘性を信奉する。
ericさんのブログを何度か読み直しているのですが、
この信奉するの部分が重要なんだなぁと思います。
既存市場に対して驚異的な競合が生まれたときに
それと同質の事をやると「自身を滅ぼす」「あまりにも旨みがない」
というときにどう戦おうかということですが、
どんなサービスにも必ず「自らのサービスより劣る」点が
あると思うんです。
その差はとても小さいように見えて、実は簡単には補えないと
わかったときに改めて評価が認められるものなのですが、
この際に必ずといっていいほど『信奉』に近いような状況が
(以前は当たり前だったのに)生み出されていると思うんですよね。
こうなると、本当に強い。素人では勝てないと思います。
投稿情報: bo | 2007/03/21 19:14
それを実践したのが最近日本でも公演があったシルク・ド・ソレイユの事例だと思います。斜陽産業と呼ばれたサーカスを皆が羨むエンターテイメントに変えた事で注目されています。
猛獣とスターを削り、ストーリー性を加える事によってサーカスが蘇ったように、既存の業界に対し、大胆に削ったり、無いものを追加したり、増やしたり減らしたりして新しい産業を作り出す。競争の無いブルーオーシャンへと殺し屋さんを導いていければと思います。引き続き考えていこうと思います。
投稿情報: Eric | 2007/03/22 22:31
ブルーオーシャン戦略、僕も好きなんで同じ路線で考えてみます。
#挑む市場がブルーオーシャンでないときにもあの戦略キャンバスは使えますよね。
初版が日本で発行された年に、シルク・ド・ソレイユの日本公演がありました。運よくチケットが手に入るとわかったときに飛びついて見に行った記憶があります。あの戦略論が言っていることがよく理解できました。(改めて戦略キャンパスの項目を眺めているんですが、独自のテントっていうのは、よくわからなかったけど・・・。テントってみんな白いからなぁ・・・。そこだけは、記憶に薄いです。)
投稿情報: bo | 2007/03/23 10:25