資生堂が2005年8月からこの新ブランドに投じた金額は40億円
ただし、従来のマスメディア→店頭というスタイルを捨てた新たな試みだ。
広告展開を指揮した資生堂の加藤賢二氏によるこの広告戦略は新たなマーケティングの指標となる。
(Nikkei Business の臨時増刊参照)
大企業だからできることで私たち中小企業には関係無いと思っている社長さん!
ところが、この戦略は今資本の有無に関係なく同じように展開できる要素を持っている。
マキアージュは、今日の若い女性の行動を的確に捉えた展開を行った。
かつてのAIDMA理論は鳴りを潜め、代わってAISASという理論が若い人の間に広がっている。
購買行動そのものの大まかな流れは今も昔も変わらない。
今、劇的に変わったのは「情報」の得やすさである。
その結果、企業からの垂れ流しの情報を消費者が鵜呑みにしなくなった。
AISASの真ん中のSは「Search(検索)」のSである。
そう、消費者は「なんだろう?興味があるな。」と思った事を検索してみるのだ。
マキアージュの場合、テレビCMを見た方も多いと思うが、その中に商品の詳しい説明はほとんど入っていない。
雑誌広告や屋外広告も同様に、商品の詳しい内容を伏せて展開している。
これで最初の導火線に火を付けることに成功した。AISASのA、つまりAttention(注意喚起)を与えているのだ。
その後、興味(Interest)を持った消費者は検索(Search)に走る。
そこで登場するのがネットである。
検索した結果、商品の詳細を自分で能動的に確かめ
Action(行動)を起こす。つまり購買する。
今までに無かった現象として、購買後の行動がある。
この商品に関する評価を消費者がしだすのだ。
つまりそれが最後のSの意味。Share(共有)だ。
この購買心理に基づいたマーケティング手法にネットは不可欠な事がお分かりいただけると思う。
検索と共有。これを実現したのがネットであり、ネットによって消費者は力を得た。
つまり、商品には消費者を納得させる十分な説明が必要となり、
半端な商品を世に送り出したが最後、悪評が千里を走る結果になってしまう。
導火線にいかに火をつけるか。ここに知恵を集中しよう。
予算があれば広告でも良いし、無ければパブリシティや店舗でのイベントでも良い。
そこからネットへ誘導してこよう。ネットは媒体自体の費用は非常に安価だ。
テレビを考えれば、CMを作る費用のほかに莫大な媒体費用がかかるのが分かるだろう。
その媒体費用をほとんど意識せずに制作費用を準備すればよい。
もう一つ。Attentionを得るために、ターゲットとなる消費者の生活パターンをよく研究しなければならない。
ユーザーの生活パターンに従って、露出ポイントを形成していくというプロセスが成功の鍵だ。
ネットをよく使う人であればインターネット広告が有効であろう。
ネットを使わない人がターゲットであれば、雑誌や電話でのセールスを考えた方が良い。
それが広告戦略であり、クロスメディアマーケティングの醍醐味である。
コメント