アマゾンの靴やバッグの通販サイト「ジャバリ」にはシンデレラと呼ばれる社員が一人います。この社員の足のサイズは23cmで、毎日100足の靴を試し履きしています。週間ダイヤモンド3月13日版の記事の中に、このことが詳しく書かれています。
ジャバリは、手数料・送料無料で何度も返品が出来ることを特徴とする靴やバッグの通販サイトです。当初返品コストはアマゾンが得意とする物流機能の効率化などで吸収しようと考えていたらしいのですが、実際の返品率は通常の通販サイトと変わらなくなったそうです。ただ、返品無料とする代わりに、返品させない仕組みを作っているところがポイントだと思います。
私も以前オーダーメイドのワイシャツ通販を2000年代に手がけていましたが、その際も生地の質感やサイズなどをどのように顧客に伝えれば良いか非常に悩みました。その時はシャツの購入前に生地サンプルとシャツの測り方、メジャーをセットにしたキットを顧客に送付し、その後注文を頂く仕組みにしていました。
靴の通販もサイズが個々人でまちまちですからサイズを間違うとどんなに気に入ったものでも履くことはできなくなります。ジャバリのシンデレラは実際に靴を試着して、メーカーごとの微妙な違いを文章であらわしています。幅が狭い、高さが低い、踵が細いなどの特徴を実際に履くことで調査しているわけです。その努力が顧客の返品率減少に一役買っているのは間違いありません。
靴という、どちらかというと通販には不向きな商品でも、売ろうと思えばその方法は見つかるはずです。ジャバリのように「返品無料」と「詳細な情報の提供」で顧客のリスクを最小限に抑えるという手法は、様々な通販分野で応用が可能なものではないでしょうか。
また、靴の試着をする社員を「シンデレラ」と名付け、さらにそれを雑誌などで広報するという戦略も非常に秀逸なものです。「アマゾンのジャバリにはシンデレラがいるらしいよ」と噂をしたくなります。このブログがまさにそれでしょう。
社員自信も、「試着要員」と呼ばれるよりは「シンデレラ」と呼ばれる方が、仕事へのモチベーションが高まるにちがいありません。このネーミングこそ、一番の重要な要素であると感じます。
王子様はシンデレラを探すのに苦労しましたが、通販の顧客はシンデレラのお陰で商品を探すのがとても楽になりましたとさ。めでたし、めでたし。
[いいですね] わぁ、いいネタを教えてくださって、ありがとうございました。
昔、「ゲームは見立てが肝心」という話を思い出しました。
「見立てのセンスが悪ければ、それは作業になる。」という話。
それにしても、「シンデレラ」とは、いい見立てですね。
投稿情報: yoshibo4 | 2010/03/11 12:50
そうですね。 商材を詳しく調べて細かく書いてある通販サイトはたくさんありますので、その点ではあまり感動はないのですが、それを「シンデレラ」というネーミングで呼んだところが非常に心に突き刺さりました。まさに「単純な作業」が名前一つで「誇りある仕事」となる良い例ですね。
投稿情報: Eric | 2010/03/11 15:27
蛇足ですが、Javariというのはアマゾン川の支流の名前らしいです。アマゾンが運営するオンラインショップとのことから名付けられたそうです。このあたりにも物語があってよいですね。
投稿情報: Eric | 2010/03/14 16:42