PRというのはPublic Relationsの略で利害関係者との関係を保つための活動全般を言うが日本では主にマスコミへのリリースの配信という活動が主体となっている。10年前に比べ400倍の情報を消費者が受け取っているというのを前の記事で書いたが、このことはマスコミの担当者についても当てはまる。以前に比べて情報が大量に押し寄せてくるのだ。もちろん玉石混交の情報の中から光り輝くダイヤモンドの原石を見つけ出す能力がマスコミの記者には求められるし、社会の木鐸としての公共精神も求められる。
そのPRの世界で今注目されているのが「戦略的PR」だ。これは通常の盛り上がっている話題を見つけてニュースにする手順とは異なり、自らあるブームを仕掛けることが主要な戦略的目標だ。しかもそれは社会性のある話題でなければならない。
具体的には「ピロリ菌」が有名だ。ピロリ菌が悪さをしているという医学会の発表を引用しつつ大規模なPRを打つ。社会性のある問題であるから新聞などのメディアもそれを記事にする「ピロリ菌、慢性萎縮性胃炎、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、さらには胃がんなどの原因の可能性」といった感じだ。もちろんその情報は生活者にとって重要な情報であることには間違いない。
そして「ピロリ菌」というキーワードが認知された状態で「ピロリ菌をやっつけるヨーグルト新発売!」とやるわけだ。
実に単純な戦略なのだが、実はこれは非常に効果を発揮している。同様な戦略にキシリトールがあげられる。「フィンランドの子どもはキシリトールをいつも食べているから虫歯が少ない」といった研究結果などをマスコミに発表し、その成分を含む食品を販売すれば絶大な効果を発揮できる。この2例は実際に行われた戦略なので皆さんの中にもハマった方も多いのではないだろうか。
新しい商品を世に出すときに、その周辺情報もあわせて出すことが重要だ。ただ、世の中には科学の迷信といわれるような根拠の薄弱な情報も多い。そのような情報を元にこの戦略を構築すると手痛いしっぺ返しをくらうことになるだろう。 マイナスイオン関連製品などはその部類なのかもしれない。
いたずらに恐怖感を煽ったりといった詐欺的な手法ではなく、本当に社会に役に立つ情報を生産者・製造者自ら発信することは営利を超えた社会的意味がある。それが結果的に売上に結びつけばその企業は大きく成長できるだろう。
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