マスコットの活用は古くて新しいテーマだ。私の世代で思い出すのは、例えば薬屋さんの前に置いてあった像の乗り物とか、ペコちゃん人形とかであろうか。こういったマスコットの活用がまた最近大きな意味を持ち出している。
最近のマーケティングとしては体験を重視する傾向がある。試供品しかり、無料体験授業や、ゴルフクラブの試打なんていうのもある。体験してあるいは擬似体験をすることによって本物に触れたくなったり所有したくなったりといったことを期待してのことだ。しかも最近は情報過多の状態であるから、消費者は自らの体験に対する判断の比重を高めていると言ってもよい。つまりは自分で見たものしか本当のところ信じないとも言える。裏を返せば本当に見たもの(体験したもの)は信じるともいえるのではないだろうか。
ただ、単に商品そのものを体験させるだけでは顧客層は広がらない。ゴルフをしない人にゴルフクラブの試打をさせてもゴルフをするようにはならないだろう。大きく市場を広げるには、その商品に直接興味は無かった人たちを取り込む必要がでてくる。そこで出てくるのがマスコットの存在だ。
例えばペコちゃんは何の為に店頭に存在しているのか。それは小さな子どもがペコちゃんに会いたいと思う気持ちをうまく利用して集客しているということに他ならない。他のお菓子屋さんという選択があるにもかかわらず、そのマスコットのおかげで足を運ばせるきっかけを作ることができる。店頭に足を運んだら、新しい商品やおいしそうなディスプレーが目に留まるのでそこから消費につながっていく。
また、野球場のマスコットも同じような存在だ。野球そのものはやはりある程度野球の知識や選手に対する興味がなければ球場に足を運ぶことはないだろう。実は私も広島に10年以上住んでいながら広島市民球場で一度も観戦したことがない。そこまで野球に情熱を傾けていないからだ。
ところが最近中日のマスコットのドアラのとりこになってしまった。ドアラの不可解で自由な行動が人々をひきつけ、その一挙手一投足をビデオに撮って動画共有サイトへアップロードする人たちが出てきたのだ。このことによって、野球場へ行かなくともそのマスコットの姿を見ることができるようになり、さらに球場へ行って直接見てみたいという思いを掻き立てられる。私自身来年は名古屋ドームに一度いってみようと思っている。(一緒に観戦する女子を募集中です♪)
マスコットには子どもを惹きつける力があるとともに、大人(大きいお友達)を惹きつけることもできる存在だ。その分野に興味の無い人たちにもじわじわと浸透し、計り知れないマーケティング効果を上げる可能性を秘めている。
ドアラの例を出したが、昨今話題のひこにゃんも同じだ。彦根城など全然知らなかった全国の人たちがそのマスコットを通じてあるていどその背景を知ることが出来たのは大きな大きな効果であっただろう。
今、ブログや動画サイトで面白いものに感度の高い人たちが多く情報を発信している。その人たちに向けて本当に面白いマスコットを開発することができれば「実際に見てみたい」という気持ちを起こさせることが出来るだろう。つまり、疑似体験→本当の体験という流れがコストをかけずに実現するということだ。
ドアラもブログ+動画サイトがなければ私自身絶対に知りえなかった情報だからだ。
様々な業界でこのマスコットを使ったマーケティングが広がっていくことだろう。
つくづく「新庄はマスコットだった」って思いますね。
投稿情報: 有人SPAM初號機 コーノ | 2007/12/04 04:24
まさに、すべての要件を満たしている存在かもです。
投稿情報: Eric | 2007/12/04 10:10