前回の記事で紹介した「がんばらない海外留学」というキャッチコピー。
私は、いやそうじゃなくてがんばれよ。と突っ込みを入れたくなったのだが、世の中がんばらないことがとてもすばらしいことのようなのだ。次の書籍群を見てみよう。英語、介護、子育て、サラリーマン、料理、掃除、おもてなし、付き合いなど、様々な分野でがんばらないというのが読者にとって心地よく響いているようだ。
頑張る、頑張らないというのはおそらく心理的な問題であるのだと思う。実際にはみんな忙しく仕事をしているし、それを外からみれば頑張っているという風に受け止められるものだ。上記の本でもおそらく頑張らずに遊びなさいと教えている本は無いだろう。必要以上に追い詰められることは無いんだよ、そんなにも肩肘を張らなくてもいいんだよと、心にマッサージを受けたようなリラクゼーション効果を生む魔法の言葉なのだろう。
頑張らないことがビジネスになる。例えば介護の問題などは、自分で抱え込まずにサービスをもっと使いましょうということだし、先ほど出た頑張らない海外留学というのも、努力して海外留学するという常識を破り、誰でも簡単にいけるという事を言いたいのだと思う。
ありのままの自分でいたい、等身大の自分でいたい、努力したり無理したりして自分を飾りたくない、本当の自分はどこにあるのか見つめてみたい。最近嘲笑をもって語られることもあるこういった自分探し的なキーワードも同じ効果を発揮するのだと思う。これらの言葉を使ったマーケティングを「脱力マーケティング」と名付けてみたい。
頑張らない=素の自分 というイメージが今日本ではプラスに働きつつあるようだ。
パラドックスというのは一種の麻薬的な働きをする。一般的に逆だと思われる言説が、実は論理的に正しいという矛盾が人間の心理にとても深く響く。頑張らないというのもそのパラドックスの一種だともいえる。
脱力マーケティングはまた様々なシーンで使われていくことだろう。
老人介護のような成果のないジャンルに「がんばらない」はあっても中華は気合いだろう!って思っちゃいますね(笑)。このノリでオリンピックが「がんばらないニッポン」なんてことになったらイヤでしょう。
無成果ジャンルはともかく、努力に対するリミットがすごく低い人が増えてさらに「がんばらない」なんて言われると日本全体をだらしない空気が覆ってるように感じます。そろそろ「気合いだ!根性だ!」ってのが巻き返しをはかんないと(笑)。
投稿情報: 有人SPAM初號機 コーノ | 2007/11/25 17:58
ビリー隊長などはその反動かもしれませんね。
投稿情報: Eric | 2007/11/25 19:10