http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100228-00000012-fsi-bus_all
百貨店が今過渡期を迎えているのは事実で、事業として成立させなければならないために不採算店舗の閉鎖や人員削減を進めているのはしかたがないことだと思います。しかし、記事にあるような低価格戦略ははたして百貨店が百貨店として生き残るための最適な戦略でしょうか。
これは有田焼の業界が参考になると思います。有田焼という高級ブランドの人気で80年代の大きな需要に応えるために手作りから離れ、転写による安い製品を大量に生産しました。しかし、高級ブランドはやはり高級ブランドとしての価値があるから認められるもので、100円ショップに「有田焼」として並んだ磁器は有田焼というブランドを大きく傷つけたことは間違いありません。現在、有田の陶磁器業界の売り上げはピーク時の3分の1程度まで下がってしまっています。
百貨店も同じで、規模を拡大するために低価格の製品を投入するというのは自らの百貨店ブランドに傷を付けてしまうのと同じではないでしょうか。
従業員の雇用や経営の継続の観点から新たな需要をとりこまなくては生きていけないのも事実です。低価格商品やPB商品をそろえてお客様を取り込むことも必要なのかもしれません。しかし、百貨店が消費者から選択されなくなった理由はやはり価値と価格のバランスが大きく崩れているからだと思います。今こそ、「高いけど、高いだけ」という消費者のイメージを崩す、「高いけど、それ以上の価値がある」という商品をそろえることこそやらなければならない戦略ではないでしょうか。
例えばスーツにしても、コーディネートやメンテナンスサービスといった付加価値で高価格だけど百貨店で買わなければそのサービスは受けられないというような方法もあるかと思います。
消費者は決して高いから百貨店へ行かないのではありません。高いけれど、その値段の価値を感じないと思うからいかないのではないでしょうか。
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