トヨタ自動車が報告義務の無い不具合も全て公開すると発表しました。
レピュテーション(評判)マネジメントのセオリー通りの行動でさすがトヨタだと感心しました。
現在のトヨタ車の状況のように、製品対する不審が高まっている状態で、多くの経営者はこれ以上の不具合や不祥事はできれば表ざたにしたくないと考える場合が多くあります。しかし、現在は一ユーザーの情報が画像や動画も含めて全世界に公開されてしまう環境です。2000年より前であれば通用したであろうそのような隠すという行為がもはや出来ない状況であるということをまず認識しなければなりません。まだ現在の経営者の多くは50代~60代が多いでしょうから、この感覚を知ることは非常に難しいことともいえます。
そのような時代ですから、製品のメーカーからの公式な発表がなければ小さな不具合がうわさとして大きく報道されてしまいかねないということになります。例えば「シートが倒れにくい」といった直接交通事故には関わりの薄いような事例であっても、「だからトヨタ車はダメだ」といった否定的なニュースが広がることもありえます。
この場合、以前にコカコーラ社が経験した事例が大きく役に立つかもしれません。コカコーラ社は製品に関する根も葉もないうわさに悩まされていました。製品にまつわるそのようなネガティブなうわさを広げないためにとった行動は「全ての噂を公開し、それに対してコカコーラ社の正式な見解を述べる」というものでした。取締役会ではこの提案に対し、反対意見も多かったといいます。「知らなかった噂まで広めてしまうのではないか」といった懸念からでした。
しかし、結果は成功しました。噂は公式なコメントを自ら示せば自然消滅するということが実証されたことになります。評判をコントロールするとは、情報を出し渋ることではなく、全て出して疑いの余地が無い状態を作ることです。これが出来る企業が生き残っていけるのではないでしょうか。
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