今、日本はデフレの時代であり、安くしないと物が売れないとも言われています。その中でも普段の商品よりもワンランク上の商品を買い求めたいという消費者の心理が働く場面が数多くあります。
本書は、ボストンコンサルティンググループがそのワンランク上の消費という視点で現代アメリカ人の消費生活を考察したものです。
そして最高級品よりも安いが、低価格品よりは高品質で高額なものを提供する企業を「ニューラグジュアリー企業」と名付け、その企業の特徴を次の8つの観点から解説しています。
1.決して顧客を侮らない
2.価格ー数量の需要曲線を崩壊させる
3.真の「ベネフィットの階段」を創出する
4.絶え間ないイノベーションと品質向上により、完璧な体験を提供し続ける
5.ブランドの価格帯やポジショニングを拡大する
6.バリューチェーンをカスタマイズして「ベネフィットの階段」を提供する
7.従来とは異なるマーケティング手法を用い、ブランド信奉者を通じてヒットの種をまく
8.アウトサイダーのように当該カテゴリーを攻め続ける
2000年代のアメリカでは住宅が消費の対象として脚光を浴びた時代です。なぜなら、借りやすいローンが増え、住宅という資産が利益を生む状態が続いていたからです。本書が書かれたのが2004年ですから、サブプライムローンの焦げ付き問題が出る前ですので、それまでいかにアメリカ社会が住宅に過剰投資していたのかを垣間見れる部分も本書には多くあります。
ともかく、なぜ高くても買ってしまうのか。私なりのその答えは明確です。それは「高いものを買うことは自分への投資である」という考えだからです。
ハーゲンダッツ好きで知られる私ですが、なぜ50円のアイスではなく、300円のアイスを買うのか(その差は実に6倍です!)。それは、アイスを食べることで明日へのエネルギーとし、そのエネルギーを使って新たな生産を行なう糧となると信じるからです。まさにこれは設備投資と同じようなものです。
その投資に対し、それ以上のリターンがあると感じられる商品であれば、通常の商品よりも一つ上の価格帯でも売れるということがわかります。当社で経営している飲食店もランチは800円台と同じ地域の他のランチよりは高いですが毎日満席で待たれる方がでるほど来ていただいています。それはその食事が利用者にとっての投資に他ならないからであって、消費では無いのです。
消費者ではなく、投資者としてお客様を見つめてみてはいかがでしょうか。
あらたなマーケットが広がるかもしれません。
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