上場企業の収益はここ10年伸び続けている反面、従業員の給与は横ばいを続けている。しかもここへきて物価高が進行しており、国民の可処分所得は減るばかりだ。さらに上場企業の6割と言われる外国人投資家がその利益を配当として受け取っていると思うとちょっと複雑な気持ちだ。
マクロ的視点でみてもこのような状況だが、一つの企業にしても経費の削減の名目で人件費の削減や抑制を続けている場合が多い。最近小林多喜二の蟹工船が急激に売上を伸ばしたというニュースがあったがそれも若い世代が搾取をされているのではないかという疑念を持ち始めた証左ではないだろうか。
当社の運営する飲食店でも現在原材料の高騰や外食を控える家庭の増大、他の店舗の急激な増加などで人件費比率が上がってきている。その為経営側としては人件費の抑制を考えたくなってくる。現在行っている作業で外注した方が安くなるものもかなりあり、1~2人は人がいらなくなるような改革も可能だ。しかし地域のレストランで働くパート労働者にとって仕事がなくなるというのは死活問題だ。だからこそ人件費の削減でも現状維持でもない第三の道を切り開くことこそ経営者の仕事であるといえる。
赤字を出してまで雇用を維持するのはナンセンスだ。儲からなくてもよしとするのも違う。一番大切なことは最適配置で労働生産性を高め、かつ従業員の雇用やモチベーションも維持する方法だ。当社の運営する飲食店の場合、営業時間の延長や宅配事業への新規参入などにより配置を最適化し売上を伸ばしながら雇用も維持するという方策を模索中だ。知人の島根で工場を経営する社長も今工場が順調なうちに新しい事業を次々に考え、しかも雇用を創出することを目標に頑張っている。
大企業のように退職金を積み増して有利な条件で退職を依願する方法は資金力の乏しい中小企業には非常に厳しい。もちろん余剰人員を抱える体力も無い場合が多い。1ヶ月3万円を受け取るアルバイトも貴重な人材であり受け取る金額の多寡ではない。危なくなってから考えたのでは遅い。まず経営が順調なうちに次の手を打つ事が経営者の責務であると肝に銘じなければならない。
by 社会派Eric
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