私の実家がある長崎では、長らく「浜町」(はまのまち、もしくははまんまちと呼ぶ)が中心の繁華街であった。今住んでいる広島も八丁堀・紙屋町という場所が繁華街だ。同じように名古屋も栄という場所が一番の繁華街とされてきた。
これら三つの都市に共通なのが、この繁華街が駅から離れているということだ。この長崎・広島・名古屋で同じような現象が起きている。それは駅前に大きなショッピングモールやテナントビルが出来、中心繁華街を脅かしているということだ。
戦後最初に人が集まる場所が出来たのはどちらも駅前であったと思う。しかし、それがいつしか老朽化し少し離れた土地の確保のし易い場所に流れてきた。それが30~40年前のことだと思う。そして、駅前は都市機能の移動により廃れてきていた。ところが、その駅前も長年の地権者も代替わりしたり、建物も老朽化して建て替えの機運が高まり、再開発の波が押し寄せて来たということが真相だろう。
つまり、地方都市というのは40年周期で駅前ともう一つの都心が交互に集客を奪い合うという構図なのかもしれない。そして今がまさにその境目であると言える。名古屋駅前テナントの担当者は、以前は7対3であったものが今は6対4、もうしばらくすれば5対5になるだろうと予測している。
今はその繁華街でさへ郊外のショッピングモールに押されて相当な痛手を負っているのだから、駅前に人が留まってしまったら大きな打撃だ。旧市街で生計を立てていた人たちの危機感は相当なものだ。
私も同級生に繁華街に店を持つ人が多いが、そんな人たちも相当な危機感を抱いている。人が集まるのが前提でそこに建物やビジネスが集積していたのに、その人の流れを駅前が変えてしまった。考えるだけで恐ろしい。まるで検索エンジンからリストをはずされたような状態なのかもしれない。
そして、その駅前の再開発の主が東京などの大都市資本だったら、地元の商店にはお金が益々落ちなくなってしまう。この構造的な不況を旧来の市街がどう乗り切るのか。今からの街の運営に手腕が問われる。博多も駅ビルの再開発が始まっている。駅前が集客装置として働き出したとき、街としての真価が問われる。
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